これまで報告がないデータには価値がありますか?


査読をしているとイントロで、「これまでに報告された例は少ない」とか「これまでに検討されてこなかった」という記載をよく見かけます。


ただし、これまでなかったことは、ただ必要性がなく調べられてこなかったという可能性もあるため、これだけでイントロの研究のモチベーションを高めることは難しいと思います。


臨床研究のイントロでは、今回調査した研究内容は「臨床的になんの役に立つのか」が明確になっていると、多少の欠点はあっても掲載される価値があるのではという判断になりやすいと思います。


イントロは論文の冒頭部分を飾りますが、単純に研究テーマの概説をするだけでなく、本研究結果が明らかにしたことの価値を高めるために記載される部分で、その研究の必要性や臨床的重要性をエディターや査読者~ひいては読者にアピールするためのものです。


そのため、イントロは論文の結論で述べた事項に基づいて記載される必要があり、この研究が導きだした結論が、いかに臨床で役に立つ可能性があるのかを、明確に述べることが必要となります。


もう一つイントロで重要なことは、関連する重要研究を引用しているかどうかという点です。ここは、考察で語れば良い部分もあり、判断が難しいところもありますが、例えばリスク因子を検討する研究であれば、既知の主要なリスク因子はイントロで紹介する必要はあると思います。


【具体例】

お勧めは英文でA4 1枚(長くても1.5枚)、2-3パラグラフが良いと思います。

*個人的には査読していてA4 2枚あるとかなりきついです。素晴らしい論文ほど、シンプルに記載されていることが多いです。

最初のパラグラフでは、主テーマの臨床的重要性の概論(死亡率や重症化率などに言及して、研究分野全体の重要性を概説)

2ndパラグラフでは、より具体的に研究テーマに踏み込み、知識のギャップにも言及する(この時点でこれまでに報告された研究はないと言及してもよいと思います)また、関連する既知の事実にも言及することが大切です。

最後に、「そこで~を調査しました」などを記載しつつ、この調査研究が臨床的に何の役に立つのかを併せて記載します。また、研究手法に関してもオリジナリティーがあるようなら言及しておくと良いと思います。

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