Discussion


Disucussionの基本形

決まった型はないとされていますが、以下の4つに分けることをイメージすると書きやすいです。

1stパラグラフ 研究のメイン結果 

2ndパラグラフ 研究の副次的な結果(いくつかあれば、この後のパラグラフをさらに分ける) 

3rdパラグラフ 研究の限界(と強み) 

4thパラグラフ Conclusion 別パートにするかどうかは雑誌によって違いますので、よく確認しておきましょう。 

 *参考書籍:臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意


ここで大切なことは、トピックを大きく2つ(2つのパラグラフ)に絞っていることです。本当に重要なトピックがいくつもあれば考察にたくさんのことを記載しても良いと思いますが、初学者にありがちなミスとして不必要な考察を多くしてしまうということがあります。特に国外の雑誌に投稿する場合は、臨床背景の違いなどで理解されないことも多いです。必要最低限のトピックに絞ることはわかりやすさを向上させるうえで、とても大切だと思います。


考察では理論の流れも重要です。適切な接続詞や代名詞を用いて、1つのパラグラフ内で自然な会話がされているように構成すると良いと思います。

パラグラフ作成のコツとして、

・重要な話題から重要性の低い話題へ展開する(パラグラフのトピックや結論から述べる)

・大きな話題から小さな話題へ展開する

・簡単な話題から難しい話題へ展開する

ことが重要です。

このように構成することで、読者の読みやすさが向上します。

*特にパラグラフライティングといって、各パラグラフの冒頭で結論を述べてから、その理由をつなげる書き方をすることで、読みやすく理論的な展開の考察になります。


どうしてもパラグラフの途中で重要な話題を入れなくてはならない場合は、「Importantly」や「Interestingly」などの前置詞を使って、その文章を強調する事で、読者の読み飛ばしを防止することもできます。ただし1つの論文中にいくつもこのような表現があると飽きられてしまいますので、1つまでにしておいた方が良いと思います。


前置詞を工夫して用いる

「Although」、「However」、「While」、「On the other hand」を用いて議論を対比させることで、論点をわかりやすく伝えることができます。

話題を追加する前置詞として「In addition (additionally)」、「Further」、「Moreover」などがありますが、1つのパラグラフでこれらが何度も出てくるような考察は一般的に読みにくいことが多いです。また、これらの使い分けとして否定的な追記の場合「Moreover」を用いることが一般的なようです。


時制

自分の結果は過去形、アクセプトされている研究は現在形で示します。このルールにより、読者は誰の研究に関して言及しているのかを明確に理解することができます。


具体的な考察の書き方

1stパラグラフでは研究で明らかにしたことを、過去の研究と比較して論じます。(研究結果を明らかにする意義はIntroductionに書いてあるはずです)

また、必要に応じて研究の臨床的意義も記載しますが、文脈から明らかな場合は省略されることも多いと思います。 また、これも必要に応じてですが、一番最初に研究で何をやろうとしたのかを冒頭で簡単に繰り返すことも、有効な場合があるので考慮します。 

過去に報告がなく新規の発表なのか、または過去の研究を踏まえてさらにどのようなことを追加で明らかにしてのかを明確に表現することが大切だと思います。これらのことを査読者に察してもらおうとしてはいけません。 

結果のボリュームが大きい論文では、考察の第一パラグラフで研究目的にも軽く触れると、可読性は向上します。(読み手はイントロを覚えていないので)


2ndパラグラフでは研究の副次的な結果を考察します。

例えば臨床効果に関する論文なら副作用の話題、副作用に関する論文ならリスク因子に関する話題などがここに入ると思います。 


3rdパラグラフ limitationを記載します。

指摘したlimitationが研究においてどのような弱点をもたらすのかを具体的に示す必要があります。例えば、「後ろ向きの試験だった」だけでは不十分で、「後ろ向き試験だったため、〇〇の薬の使い方には偏りがあった可能性があり、これは●●の副作用の発生率に影響した可能性がある」などがあります。

また、せっかくなので研究の強みもアピールした方が良いと思います。 


4th パラグラフ Conclusion 

簡単な結論の繰り返しよりは、この結果が臨床的に何の役立つ可能性があるのかなどを具体的に書いた方が良い場合もあります。ただし、over conclusionにならないように注意する必要もあります。


 【チェックリスト】 

□考察の1stパラグラフで、過去の研究を引用しつつ、本研究の重要性に言及しているか

□時制の使い方に間違いはないか

□文章が理論的で読みやすく流れているか

□本研究結果に言及していない(先行研究結果を引用しただけの)パラグラフがないか、あれば削除を検討する

□結果が機序的に説明がつくか、過去の報告ではどのような作用機序が説明されているかがあれば記載しておく

□limitationは記載してあるか、またそれを具体的に表現しているか  


【よくある好ましくない事例】

- 考察内で過去の文献にしか言及していないパラグラフ(研究結果との関連性が明確になっていない)

- 膨大な考察 初学者はなるべくシンプルな考察にしたほうが良いです。

詳細に記述することで墓穴を掘ったり、関連性の低い考察、まとまりのない考察をよく見かけます。考察の分量が多ければ、その分査読者に負担をかけることを十分に考慮して、なるべくシンプルな記載を心がけましょう。

- 逆に、考察内で過去の文献に言及せずに、結果だけを提示しているパラグラフ

- 1パラグラフ内で複数のトピックを扱っている(分けましょう)

- パラグラフ間のボリュームが大きく違いすぎる(バランスをとりましょう、多くは不必要な記載のことが多いです)

- 多くのセンテンスがIn this studyなどで始まっている(自分の研究は過去形で記載するので、区別がつきますし、どうしても入れたい場合はセンテンスの後ろに入れたほうが良いです)

*考察の各パラグラフの始めの数行で何が書いてあるのか理解できることが非常に重要です。この部分の単語を吟味することが大切です。(これはイントロも同様です)



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