不均衡分析の論文で重要だと思うこと

自著、共著、査読から重要と思ったことをピックアップさせていただきます


テーマ選定

すでに後ろ向き試験などで検討されているものは、査読が厳しめ

注目されている薬剤、機序に関するものは採用されやすい

不用意にテーマを広げすぎない(なるべく1つか2つのテーマに集中する)


イントロ

読み進めながら理解が深められ、かつ明確に問題提起されている文章(これが本当に重要です)

*初学者はここがハードルになる可能性が高いです(事実の羅列になってしまっていることが多い)

*読んでいる途中で「ん?」となるような流れていない文章は、かなり厳しいです

*適切な接続詞や著者の考えも入れながら、テーマの重要性を徐々に深めていく(ここが難しくて、後で後悔することも多いです)

*事実(や文献)の羅列になっている場合は、「だから何なのか」という著者の考えを記載しておく(読者や査読者は行間を読んだり、察したりすることはないと考える)


いくつかのパラグラフに分けて、なんでこの研究が大切なのかという臨床的重要性をしっかりアピールする(背景→目的とする薬剤や副作用の臨床的重要性→問題提起など)

*なるべく簡素なものが好まれるが、中には詳細な説明を好む査読者もいる

*重要な部分は具体的な数値も交えて説明する(多くの患者が→どれくらい多いのか:〇%の患者が~)

*冒頭から専門的になりすぎないように


解析手法

RORの薬剤間の比較はかなり厳しく指摘される


SMQなどを用いる場合、含まれるPTが臨床にフィットしているかの評価は重要(個人的見解)

*SMQが臨床にフィットしていないPTをかなり含んでいることがあり、研究目的に合致していないという評価を受けている可能性があるかもしれません


重複削除(特に比較する薬剤同士)が適切にされているか(全報告数および副作用数からも、重複が除外されているか)

*特にサブ解析で体重や年齢データを扱う場合は、ROR解析でも同じ集団を扱っているか(集団が違う検討では結果が異なる可能性がある)

そして、これらが論文中に明記されているか


NSAIDsや抗真菌薬は外用薬が多く含まれており、また投与経路が欠損しているため不明な場合も多いです。個人的にはこれらのデータを含む集団は除外するようにしています。

NSAIDsのシップや軟膏で消化管出血なんかの副作用って、通常は起こらないですよね。


結果の提示

不均衡を認めたという表現が好まれる(有意な差を認めたと書くと、指摘されるリスクが高い)


考察

イントロと同様に流れるような文章にする(結果提示と引用文献の羅列にならないように)

*なぜそのように考えられるのかなどを文章で明確にし、そのために引用文献を用いる


1つのパラグラフでは1つのテーマを扱う

*パラグラフの冒頭で、なるべく結論を述べる(パラグラフの最後まで読まないと結論がわからない文章は、好まれない)

*パラグラフのはじめで、何について言及するのか推測できる単語を選択する(最初の数語が重要です、ここに曖昧な単語を配置しない)


パラグラフが長くなりすぎないように

*長いことは、理解を妨げる可能性が高くなるので、大きなリスクだと思います

(個人的には英文では半ページ以内で構成するようにしています)


必要性の低い議論は記載しない

*余計な記載があることはリジェクトの大きなリスクです

*逆に不足部分は査読者が指摘してくれますので、迷うものは削除を検討したほうが良いです


引用文献の選定は慎重に

オープンアクセス誌、ハゲタカジャーナルに近い雑誌の引用は、かなり評価を下げる

特に質の高い雑誌では引用文献に言及されることも多い

引用文献はかなり厳しくみられていると考えたほうが良いと思います

同じような内容であれば、より質の高い文献1つに絞る(多すぎるリファレンスは査読者の負担を増やします)


査読者・読者の視点で記載する

原稿や図表が査読者が読みやすいように作成・構成されているかを意識する

日本人が得意な、細やかな気遣い、緻密性を原稿や研究手法で感じさせることができると良いかもしれません(考察を細かくするという意味ではありません)

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