実際に論文をどのように書いていくか


アンケートや実験など研究の手法によって記載事項は大きく異なるため、よくまとまっている先行研究を参考にすると良いと思います。1つお手本となる論文を決めて、それと書籍などを参照しながら書き進めると良いと思います。

できれば執筆開始時点で投稿先の雑誌を決めておいて、その投稿規定に基づいて執筆した方が、後々の修正が少なくなります。多くの雑誌ではOnline firstなどで生原稿を公開しています。これらを参考にすることで、論文にどのような記載事項が必要か、どのようなパートで記載するかを確認することができます。


各パートの執筆順

Results → Methods → Discussion → Introductionが私のスタンダードで、書籍でも推奨されていることが多いです。

ただ、各パートを完璧に終わらせる必要はなく、流動的な作業であることが多いです。例えば、Discussionを書いていると、「Resultsにこの結果も追加しておいた方が良いかも」などと考えることも多く、各パートを行き来しながら書いていくことも多いです。また、執筆段階では色々なアイデアが出てきますので、ドラフトの段階では思いついたことを、各パートにメモ書きしながら書き進めるのが良いと思います。


ドラフトは英語で書くべきか?

英文で提出するのであれば、多くの書籍が英語で書くことを推奨していますし、私もそうしています。特にIntroductionやDiscussionの理論の流れは日本語で表現しきれない部分もあるように思っています。ただし、覚え書きのアイデアなどは各パートに日本語でメモ的に追記することはよくあります。


以下にそれぞれのパートのさらに詳細を記載しました。

(①から④はボリュームが多いので別リンクにしました)

①Results

②Methods

③Discussion

④Introduction


⑤Abstract

Abstractは執筆内容がぶれないように最初に簡単に書いておくよう勧めている書籍もあり、必要に応じて先行的に記載しておくのも良いと思います。

私自身は最後に書くことが多いです。

投稿先の雑誌、論文の種類によって文字数が大きく異なるため、投稿先を決めてから本格的に書いた方が良いと思います。

一般的には研究背景には言及せずに「研究でやったこと+簡単な目的 to~」、「方法(字数に余裕があれば)」、「結果」、「Conclusion」を纏めると字数制限いっぱいのボリュームになると思います。

私自身は最後に記載しています。


⑥References

文献管理ソフトを用いて自動で作成します。

雑誌によってスタイルは様々で1) [1] 1などのスタイルがあり、またこれらの数字をピリオドの左右どちらに配置するか、上付きにするかどうかなどの決まりが雑誌ごとに規定されています。投稿規定をよく確認しましょう。多くの文献管理ソフトでは雑誌名を指定することで、これらのスタイルも自動的に調整してくれます。ソフトにその雑誌のスタイルがインストールされていない場合もwebからダウンロードして追加できる場合が多いです。

*注意点:文献管理ソフトはピリオドの左右どちらかに配置するかまではフォローしてくれません。最終チェックで文献番号の配置位置および文字と引用番号に必要なスペースが空いているか(もしくは空いていないか)を確認する必要があります。[ ]スタイルの場合は文章の最後と括弧の間に半角スペースが必要となる場合が多いです。


⑦Title Page

英文誌の多くは最終学位などの記載が求められています。雑誌によってCOIやFundingなどは雑誌によってTittle pageに書くかAcknowledgementsに書くなど指定されていますので、投稿規定を十分に確認する必要があります。

タイトルは宣誓型のものもたまに見かけますが、書籍でもあまり推奨されていない印象なので、最近は避けて、「Association between~」としていることが多いです。私はタイトルは最後に考えています。


⑧Acknowledgements

謝辞があれば記載します。

また、この項目にCOIやFundingを記載するよう指定している雑誌もあります。Date sharing などを求めていいる雑誌も多いので、投稿規定やOnline firstで掲載されている論文を確認しておきましょう。


⑨その他

他にも、Abstract以外に研究の強みや研究の概要を紹介する項目を設けている雑誌もありますので、このあたりも投稿規定をよく確認する必要があります。Figureがあれば、Figure legendsも必要です。


⑩推敲

まずは各パートごとにgoogle翻訳とGrammaryで全体的な論旨の流れをチェックします。

*日本語で論文全体の流れが確認できるので、わかりづらい論旨などが発見できます。

つづいて、上記のツールで各パートごとに文法などをチェック


その後は英文チェック

・文章の流れで主語の選択が問題ないか(受動態/能動態の選択)

 *概ね統一感のある主語を選択していく必要があると思います。

・適切な動詞の選択(その文章で最も大事な行為を動詞で表しているか)

 *英語は名詞化された動詞も多いため、注意が必要です。



⑪最終チェック

最後は紙に印刷してチェックします。

パソコンの画面では発見できなかったミスが高い確率で見つかります。



いつ書くか?

日々の業務をこなしながら研究作業を進めていくには時間の管理が重要です。

個人的には平日は朝の始業前と昼休みの各1時間、合計2時間を研究や学会発表のスライド作成の時間に使っています。

土日は主に午前中の時間を利用しています。

書籍などにもよく書かれていますが、個人的には朝の時間での作業をお勧めします。午前中は頭の中がきちんと整理できて、良い文章が書けます。(朝の時間が有効かどうかは個人のライフスタイルによって違うかもしれません)

起床時間は5時、寝床時間は10-11時くらいです。





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